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山陰ツーリング ~最終日

ビアター

いよいよ山陰ツーリングも最終日となり、今日の夜には新門司港からフェリーに乗って帰途につかなくてはならない。どう時間を使おうかと考えたが、雨のため益田から内陸に入ってしまい、海岸線を走り残していることが気になったのと、カルストロードは走ったが、有名な秋芳洞を見ていないので、もう一度秋吉台に戻ることにした。

8:40にホテルを出発し、昨日走ってきた道を忠実にたどって秋吉台の駐車場に9:40に着いた。土曜日だったせいか、朝から大勢の観光客が押し寄せていた。コロナ禍も一段落した感があり、今まで我慢してきた人々が、一斉に動き出したのだろうか。

洞の入口近くの駐車場にバイクも置けるかと聞くと、町営の駐車場に置けと言われ、行ってみるとバイクは無料だった。そこから入口までは結構歩かなければならなかった。

両側には観光地らしくお土産屋が軒を連ねていたが、コロナ禍のためか閉店している店も多かった。

今まで龍泉洞やあぶくま洞といった有名な鍾乳洞はいろいろ見てきたが、秋芳洞は緑が多いのが特徴的だった。

中は予想以上に広く、観光客が多くても狭い通路で押し合うこともないので、ゆっくり鑑賞することができた。

途中にエレベーターがあり、地上に出ることもできた。その深さは80mと表示されていた。エレベーターで上がってみると、昨日見つけた展望台に上る道につながっていた。

他の鍾乳洞が洞穴だけなのに対し、地上の秋吉台と有機的につながっているのはスケールが大きいと思った。2時間ほど鍾乳洞を見学し、駐車場に戻った。

国道191号に出て、日本海を目指したが、長門市仙崎に金子みすゞ記念館があることを知り、以前から金子みすゞの詩には心を惹かれていたので、ぜひ行ってみたいと目的地にした。

仙崎の街に入るとセンザキッチンという道の駅があり、賑わっていたので昼食がてら寄ってみた。

レストランがあったので入ってみると、今日上がったという「イカの活きづくり」を勧められた。時価とあったので聞いてみると1パイ3500円くらいだという。一人では食べきれそうもないのでやめたが、隣の4人家族が注文していたので見ていると、30㎝はありそうな立派なイカだった。

私は仙崎ウマいもの尽くしという定食を頼んだが、それほど変わったものは乗っていなかった。

お目当ての金子みすゞ記念館は、センザキッチンから少し行ったところですぐわかった。みすゞが20歳まで暮らしていた家を復元したらしい。

金子みすゞは26歳の若さで服毒自殺して亡くなったので、没後50年間も「幻の童謡詩人」と言われて作品もわずかしか知られていなかったが、矢崎節夫氏の長年の努力により512編もの遺稿集が発見され、いちやく時の人となった。

私はその作品を読んで彼女の生涯に興味を持っていたが、今回記念館を訪れて誕生から逝去までをつぶさに知り、その作品と重ねることで一層彼女の素晴らしさを知ることができた。

旅の締めくくりに、角島(つのしま)大橋と毘沙(びしゃ)の鼻を巡ることにした。角島大橋は海上にかけられた1780mの橋で、無料で走ることができる。沖縄に行った時にも島を結ぶ橋はどこも美しかったけれど、角島大橋も絶景だった。

角島には大きな灯台もあり、じっくり回りたい島だが、時間もあまりないので、毘沙の鼻を目指した。本州を一つの島と見ると、最北端は青森県の大間崎、最南端は和歌山県の潮岬、最東端は岩手県のトドヶ崎であり、最西端が毘沙の鼻である。

毘沙の鼻には18時に着いたので、日没までまだ1時間もある。今日は新門司港まで行かなければならないので、のんびりし過ぎるわけにもいかず、日没は諦めた。

駐車場に戻ってみると、どこかで見たことのあるバイクが停まっていた。あれってもしかするとCBS600ではないか。たかぴいさんの愛車と同じである。マイナーなバイクだと聞いていたので、まさかお仲間に出会えるとは思わなかった。

さあ、後は下関に戻り関門海峡を渡るだけだ、と油断をしたわけでもないのだが、途中の赤信号で止まった時、のどが渇いていたので後席のツーリングバッグにあるペットボトルを取ろうとした。転倒を恐れてサイドスタンドを下ろしたのだが、ちょっと下り傾斜だったのかもしれない。

体をひねって右手を延ばした時、あろうことかバイクが前に動き、大きな音を立てて左に派手に倒れた。私はハンドルから手を放していたので、投げ出されあやうく下敷きになるところだった。すぐ後ろに止まっていた車の人が下りてきてくれて、起こすのを手伝ってくれた。

さいわい2人で力を合わせて、すぐに起こすことはできたが、見るとスクリーンが破損してしまっていた。車の人にお礼を言って安全なところにバイクを移動させ、割れたスクリーンを何とかテープで補修し、エンジンがかかるかセルを回してみた。少し時間はかかったが、何とかエンジンは始動し、点検してみるとスクリーン以外には破損個所はなかった。

立ちごけするなんて自分でもびっくりしたが今考えると、疲れていて、集中力が欠けていたのかもしれない。あらら、今日で最終日だというのに。。。とショックだったが、気を取り直し、下関に向かった。

関門海峡は高速道で海峡大橋を渡ろうと思っていたのに、案内を見間違えたのか、トンネルに入ってしまった。

まあ、トンネルでもいいかと思って本州と別れを告げ、九州へ渡った。昨年は雨の中だったが、景色は覚えていて、門司を通り過ぎ新門司港を目指した。乗船手続きは22時からなのでそれまでファミレスを見つけ、夕食を食べながら時間をつぶした。

22時に新門司港に行くと2度乗船した東京九州フェリーの「はまゆう」が岸壁に停まっていた。

バイクは20台乗せることができるのだが、今日も満席らしく、私は最後尾だった。前のバイクの人は同じ年配で九州ナンバーだったので、「どこを走るんですか」と話しかけてみると、古希の祝いにもらったというドラッグスターの250㏄で関東をぶらぶら走ってくるとのことだった。

「私も昔は750㏄だったんですがね」というので聞いてみると、だんだん取り回しがつらくなり家族の勧めもあってサイズダウンしたのだとか。

見たところドラッグスター250はFZXとたいして変わらない車格だったが、軽いので扱いやすいとのこと。車検が無いのも気が楽だと言っていた。

23:10に乗船が始まり、バイクは乗用車より先に乗り込めたので、早く船内でくつろぐことができた。風呂に入り、着替えをしてベッドに横になると、ああ長かったツーリングも終わったかと、一抹の寂しさを覚えた。

本日の走行距離 225km(Total 2088km)

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